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すみません、許してください

ウィグナービレ分布のラグとドップラーを考える

ラグ,ドップラー?

z(t)のウィグナービレ分布W_z(t, f)は以下で定義される.

W_z(t, f)=\int  K_z(t, \tau) \mathrm{e}^{-j 2 \pi f \tau}d\tau\\

K_z(t, \tau)=z\left(t+\frac{\tau}{2}\right)z^*\left(t-\frac{\tau}{2}\right)


また,次のようにも書ける.

W_z(t, f)=\int  k_z(\nu, f) \mathrm{e}^{j 2 \pi \nu t}dt\\

k_z(\nu, f)=Z\left(f+\frac{\nu}{2}\right)Z^*\left(f-\frac{\nu}{2}\right)

ここで\tau\nuはそれぞれラグ,ドップラーであるが,こいつら何じゃらほい?となったので,少し考察することにした.なお,分かったのは計算上確かに出てくるねってところまでで,本質的な部分はよく分からなかった.以下,ふわふわとした考察を述べる.

情報の信頼性については保証しません.



フーリエ変換の復習

まず,おさらいとしてフーリエ変換について説明する.
フーリエ変換は以下のように定義される.

S(f)=\int s(t) \mathrm{e}^{-j 2 \pi f t}dt\\

時間信号s(t)周波数スペクトルS(f)である.

S(f)からs(t)を求める場合は以下に定義する逆フーリエ変換を行う.

s(t)=\int S(f) \mathrm{e}^{j 2 \pi f t}df\\

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まとめるとこんな感じ.




ウィグナービレ分布のラグを考える

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ウィグナービレ分布は信号の周波数スペクトルの時間変化を横軸を時間,縦軸を周波数,強度を色の濃淡などで表現したものである.これを斜めに見てみる.2次元で考えると強度は色の濃淡でしか表せなかったが,斜めに見ると強度はz軸で表現でき,周波数スペクトルが見える.

ここである時間t_0における周波数スペクトルQ_0(f)を考える.
Q_0(f)=W_z(t0, f)
フーリエ変換の復習を思い出すと,周波数スペクトルを逆フーリエ変換することで,時間信号が取り出せる.この周波数スペクトルQ_0(f)を逆フーリエ変換すると時間信号的なものが取り出せそうである.ここで時間tはすでに使われているため,新たに\tauという変数を用意してみる.Q_0(f)\taufで逆フーリエ変換すると,
q_0(\tau)=\int Q_0(f) \mathrm{e}^{j 2 \pi f \tau}df
となる.この式においてtは出てきていない点に注目.tは変数であるが,固定されているわけである.

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最後にt_0-\infty \sim \inftyで動かす(一つ一つのtに対してそれぞれ逆フーリエ変換するわけである)と,以下の式が求まる.
K_z(t, \tau)=\int W_z(t, f) \mathrm{e}^{j 2 \pi f \tau}df

以上のようにして時間信号的な何かが求められ,これを表現するために使われる変数\tauがラグと呼ばれるものである.

K_z(t, \tau)z(t)instantaneous autocorrelation function(IAF)と呼ばれたりする.


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まとめるとこんな感じ.





ウィグナービレ分布のドップラーを考える

ラグの場合はtを固定して考えた.今度はfを固定して考える.

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またウィグナービレ分布を斜めに見てみる.

ここである周波数f_0における時間信号p_0(f)を考える.
p_0(t)=W_z(t, f_0)

この時間信号p_0(t)フーリエ変換すると周波数スペクトル的なものが取り出せそうである.ここで周波数fはすでに使われているため,新たに\nuという変数を用意してみる.p_0(t)t\nuフーリエ変換すると,
P_0(\nu)=\int p_0(f) \mathrm{e}^{-j 2 \pi \nu t}dt

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最後にf_0-\infty \sim \inftyで動かす(一つ一つのfに対してそれぞれフーリエ変換するわけである)と,以下の式が求まる.
k_z(\nu, f)=\int W_z(t, f) \mathrm{e}^{-j 2 \pi \nu t}dt

以上のようにしてスペクトル的な何かが求められ,これを表現するために使われる変数\nuがドップラーと呼ばれるものである.

k_z(\nu, f)z(t)spectral correlation function(SCF)と呼ばれたりする.



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まとめるとこんな感じ.





曖昧度関数

ウィグナービレ分布W_z(t, f)\taufで逆フーリエ変換すると,
K_z(t, \tau)=\int W_z(t, f) \mathrm{e}^{j 2 \pi f \tau}df
ウィグナービレ分布W_z(t, f)t\nuフーリエ変換すると,
k_z(\nu, f)=\int W_z(t, f) \mathrm{e}^{-j 2 \pi \nu t}dt
となった.

それではK_z(t, \tau)をさらにt\nuフーリエ変換してみよう.

\int K_z(t, \tau) \mathrm{e}^{-j 2 \pi \nu t}dt \\
=\int \int W_z(t, f) \mathrm{e}^{j 2 \pi f \tau} \mathrm{e}^{-j 2 \pi \nu t} df dt \\
=\int \int W_z(t, f) \mathrm{e}^{j 2 \pi (f \tau - \nu t)} df dt\\
=A_z(\nu, \tau)

同様に,k_z(\nu, f)\taufで逆フーリエ変換すると,

\int k_z(\nu, f) \mathrm{e}^{j 2 \pi f \tau}df \\
=\int \int W_z(t, f) \mathrm{e}^{-j 2 \pi \nu t} \mathrm{e}^{j 2 \pi f \tau} dt df \\
=\int \int W_z(t, f) \mathrm{e}^{-j 2 \pi (\nu t - f \tau)} dt df\\
=A_z(\nu, \tau)

となり,計算の順番が違う(先にtを固定するかfを固定するかの違い)だけなので,結果は等しくなる.

ここでA_z(\nu, \tau)曖昧度関数(ambiguity function)と呼ばれる.
書籍によっては不確定性関数と呼ばれることもあるが,どっちがメジャーかは知らない.


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まとめるとこんな感じ.



ところでambiguity functionでwikipediaを調べると出てくるが,

不確定性関数 - Wikipedia
不確定性関数(ふかくていせいかんすう、英: Ambiguity function)とは、レーダーで対象物までの距離・速度を捉えた信号を処理すると、真の距離・速度の値以外の虚像値を伴っていることを表現する関数。狭義には、距離・速度に対する事後確率の関数。 一般に、マッチドフィルタ(通常、パルス圧縮レーダ等で用いられる)の受信信号に対する影響を意味する、遅延時間とドップラー周波数の2変数関数である。

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記事を読んでも全然意味が分からない.



私は雰囲気で信号処理をやっている.