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すみません、許してください

ウィグナービレ分布と曖昧度関数とクロス項抑制

クロス項とは?

(時間-周波数解析における)クロス項とは,信号が無い部分に出てしまっているスペクトルのことを指しているようである.つまりノイズである.分析結果のSN比向上のためにクロス項抑制が課題となっている.



振幅一定,周波数一定の2信号のウィグナービレ分布と曖昧度関数

yuri-processing-club.hatenablog.com
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より,

z(t)= A_1 \mathrm{e}^{j 2 \pi f_1 t} + A_2 \mathrm{e}^{j 2 \pi f_2 t}

ウィグナービレ分布は
W_z(t,f) = A_1^2 \delta (f-f_1) + A_2^2 \delta (f-f_2) + 2 A_1 A_2 \cos \left( 2\pi \left( f_2 - f_1 \right) t \right) \delta  \left( f - \frac{f_1+f_2}{2}\right)

曖昧度関数は
A_z(\nu, \tau) = A_1^2 \mathrm{e}^{j 2 \pi f_1  \tau} \delta (\nu) + A_2^2 \mathrm{e}^{j 2 \pi f_2  \tau}  \delta (\nu)+ 2 A_1 A_2  \mathrm{e}^{j 2 \pi \left( \frac{f_1+f_2}{2}\right) \tau}  \delta \left(\nu +  \left( f_2 - f_1 \right) \right)

であった.



ウィグナービレ分布のグラフ

同信号のウィグナービレ分布は下図となる.
f:id:Yuri-Processing-Club:20181115161108p:plain
ウィグナービレ分布では,クロス項は信号と信号の間に発生することが分かる.



曖昧度関数のグラフ

曖昧度関数のグラフを描く.複素数となっていてこのままではグラフを描くのは無理なので,絶対値を取って,
A_1^2  \delta (\nu) + A_2^2  \delta (\nu)+ 2 A_1 A_2  \delta \left(\nu +  \left( f_2 - f_1 \right) \right)
のグラフを描いてみると,下のようになる.
f:id:Yuri-Processing-Club:20181116182204p:plain
曖昧度関数では,信号は原点を通り,クロス項は原点を通らないことが分かる.





Ambiguity domain and (t, f) domain

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ウィグナービレ分布と曖昧度関数の信号とクロス項の位置関係はこんな感じ.




クロス項抑制のためには?

(t, f) domainで考えると

クロス項は信号と信号の間に発生するので,クロス項抑制のためには信号と信号の間をカットすれば良いのだが,信号が未知の場合はどれが信号か分からないのでどうすればよいのか分からない.

Ambiguity domainで考えると

クロス項は原点を通らないので,クロス項抑制のためには原点を通らない信号はカットしてしまえばよい.(または原点付近のみを残してそれ以外は捨てる)


このように,クロス項抑制においてはAmbiguity domainで処理すると良いっぽい.

なお,「(t, f) domainではクロス項抑制はどうすればよいのか分からない」と書いたが,(t, f) domainではクロス項は振動していることが分かる.よって,(t, f) domainでクロス項を抑制する場合はローパスフィルタをかけると良いっぽい.ギザギザ,シャギシャギしているのをsmoothingする.この辺の話を一般化したのがコーエンクラスだそうだが・・・?